FALCON ガス窒化/軟窒化炉総合計測・制御システム
概要と特徴
FALCONは、このテクノロジーの開発国でもあり、また鉄鋼の熱処理のなかで窒化・軟窒化処理の占める割合が既に18%(2009年度統計)までにも達した窒化大国であるドイツのStange社との技術契約に基づき製作されたガス窒化・軟窒化熱処理炉の完全自動制御システムです。
STANGE社は、制御およびセンシング技術を世界的な窒化技術の研究機関であるベルグアカデミア工科大学の主要研究者と長期に共同作業を続けてきました。これにより、高信頼・高精度・高速応答の水素センサおよび酸素センサ、そして長期に、また窒化大国ならではの豊富な自動化実績に磨かれた理論および制御アルゴリズム、さらに膨大な鋼種データベースを構築しています。FALCONは、これら全ての成果を余すところ無く活かす、文字通り包括的な総合システムです。
S.T.ジョンソンの国内サポート体制とドイツの優れた品質とで、日本ではこれから大きく普及するといわれる窒化技術のまさに真髄を確実に取り込み、先端を走る技術者に確実な成果と同時に安心をもたらすものと確信します。FALCONは、貴社製品の次元の高い差別化と環境性の向上を実現します。
主な仕様
基本熱処理 | 熱処理方法 | 標準 | 窒化+軟窒化 |
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制御構造 | プログラム制御 (プロファイルとイベント) |
部品の熱処理の指示にしたがって、全ての制御設定値(窒素ポテンシャル、炉内温度など)を、時間の進行に合わせたプロファイルを作成します(上図、プロファイルを参照)。このプロファイルの作成は、制御システム内のコントローラ上で作成・登録するか、または装置付属のソフトウェアECS2000をインストールしたコンピュータ上で作成・保存・ダウンロードします。このプロファイルには、真空引き、前酸化など付帯の制御機能の発停させるためのイベントを関連付けることができます。これらの制御で設定値をもつものは、コントローラないしコンピュータ上で、上記プロファイルの中に取り込んで、一体化されたので、同処理の再現には、同プロファイルの呼び出し(ダウンロード)だけとなります。このイベントをもつプロファイルはユーザーが自由に作成・編集が行えます。 | |
制御方法 | 窒化制御方法 | 予め作成した上記プロファイルをコントローラ上で指定して呼び出し、開始操作をします。プロファイルにしたがって、炉の準備状態などを確認、昇温などの一連の行程を進み、窒化制御が始まります。水素センサによりアンモニアの分解度から炉内の窒素ポテンシャルを割り出します。この値をアンモニア(気体)流量の増加で上昇させ、また分解炉へのアンモニア流量の増加で減少させることで、目標の窒素ポテンシャル値に調整するフィードバック制御が行われます。 | |
軟窒化制御方法 | CO2の流量を計測して、その値とNH3の流量との比が、予めプロファイル上での値になるようにCO2流量計測・制御します。窒素ポテンシャルの制御については上記「窒化制御方法」に同様です。 | ||
炉温度制御 | 最小3ヒーターゾーンへの制御信号出力と各ゾーン温度計測信号およびレトルト温度信号入力。ヒータ出力は、各ゾーンと炉頂温度からカスケード型PID演算で生成され、高速・安定な制御をします。窒化熱処理は温度制御の精度および窒素ポテンシャルとの連携が大事なので、既存の温度制御装置がある場合には、サイリスタなど制御末端装置は残し、制御機能は本制御システムに置き換えることが必要です。 | ||
付帯熱処理 制御 |
前酸化 | エアの流量設定値制御。酸素センサによる酸化ポテンシャル制御。 | |
後酸化(対応) | エアまたは水による流量設定値制御。酸素センサによる酸化ポテンシャル制御。水配管はオプションで追加可能。 | ||
(無酸化)焼戻し | N2の流量制御。酸素センサによる酸化ポテンシャル制御。 | ||
付帯制御 | 炉内圧力 | 排気系に設置した大流量と小流量のエア作動電磁弁の制御およびN2の流量制御。炉圧力が高および低異常設定値を逸脱したときに警報。 | |
真空引き | レトルト圧力の監視と期間設定による真空ポンプ制御および真空電磁弁制御。予め定められた期間内に設定された真空度に到達しない場合に警報。 | ||
分解炉温度制御 | 温度設定値による定置制御。安全装置:異常高温のための独立した温度制限器。 | ||
炉攪拌機 回転数制御 |
プロファイルとして窒化プロファイルで同期可能。または、予め決めた設定値に対するインバータへの回転数発信。 | ||
排ガス処理装置 | 電気スパークによる点火バーナへの点火と保持バーナによる炉排気ガスの酸化燃焼(標準)。 触媒燃焼による窒素酸化物を抑えた排ガス処理はオプションです。 |
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安全機能 | 安全監視 | 炉内圧力、ガス供給高低圧力、排ガス燃焼装置燃焼火炎、炉温(2重化)、分解炉温度(2重化)、酸素濃度、感震器、ガス流量異常低、熱電対断線、その他 | |
安全退避動作 | 停電、炉圧低、ガス供給圧力低などには炉内自動窒素パージ、排ガス燃焼装置失火時ガス遮断、その他 | ||
準拠規格 | JIS B8415およびEN 746-2 | ||
データ収集 | 収集データ | 全てのラベルつきデータ | |
ロギング周期 | 30秒 | ||
保存メディア | 工業グレードコンパクトフラッシュメモリ | ||
型式 | FALCON-158L | アンモニア流量最大158N㍑/minが目安です | |
FALCON-039S | アンモニア流量最大39N㍑/minが目安です |
●記載の内容は、実際のシステムとは異なる場合があります。
●記載の内容は、予告なく変更する場合があります。
●説明を容易にするために窒化炉または軟窒化炉などの炉に言及をしていますが、炉体は本制御には含まれることはありません。
※スタンゲ社製品の東アジア、東南アジア、オセアニア地域に於ける販売並びにサポートを提供します。